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塔斯汀(タスティン):冷え切ったピザ屋から「中華バーガー」で1万店舗を目指す急成長

創業:魏友純(創業者、元華莱士加盟店主)、楊兵(CEO) · 福州塔斯汀餐飲管理有限公司

JOURNEY

主要項目

FIELD STAMPS
業界飲食・茶飲料
地域中国
規模中堅企業
チャネルオフライン

創業のきっかけ

創業者の魏友純は福建省出身。2011年から2013年にかけて華莱士(Wallace)の加盟店を7店舗運営し、西洋ファストフードのフランチャイズ手法を習得した。その間、自社ブランド「塔斯汀」を立ち上げ、2012年に江西省で創業。当初は中華風の食材をピザ生地に乗せた「中華ピザ」を提供していたが、6年間にわたり鳴かず飛ばずの状態が続いた。転機は2018年、チームが「現烤手擀堡胚(注文を受けてから手で伸ばして焼くバンズ)」を開発したことにある。従来のバターパンに代わり、手作りバンズに梅菜扣肉(豚の角煮の蒸し物)、北京ダック、麻婆豆腐といった中華風の具材を挟む「中国バーガー」というコンセプトを打ち出し、マクドナルド、ケンタッキー、華莱士との差別化に成功した。

成長のマイルストーン

2012年
創業 転換
創業者の魏友純が江西省で塔斯汀の1号店を開業。当初は中華ピザを扱っていたが、ニッチなカテゴリーでターゲットも曖昧だったため、長らく経営は低迷し、二・三線都市の外食市場の片隅に埋もれていた。
2012年
6年間の低迷 失敗
中華ピザは消費者に浸透せず、店舗数も伸びず、収益の爆発的成長も見込めなかった。塔斯汀は長らく低迷するブランド状態にあり、創業チームは一度、店を閉めて新しいコンセプトを練り直すべきかという決断を迫られた。この期間は2012年から2017年まで続いた。
2018年
バーガーへの転換 転換
塔斯汀は「現烤手擀堡胚」を開発。手作り・現場焼きのバンズに、梅菜扣肉、北京ダック、麻婆豆腐、魚香肉絲などの具材を合わせ、「中国バーガー」というブランドを確立。江西省南昌からスタートし、三・四線以下の都市を主戦場として、地方から都市を包囲する戦略で北上した。
2020年
加盟店募集の開始 転換点
2020年、塔斯汀は正式にフランチャイズ展開を開始。中国バーガーという新コンセプトを打ち出し、同年に全国で500店舗を突破。コロナ禍で空いた低価格の店舗物件と、抖音(Douyin)のローカルライフサービスの初期の恩恵を活かして急速に店舗を拡大した。
2021年
出店加速 成長
契約店舗数が1000店舗を突破。11月にはソースコード・キャピタル(源码資本)からの出資が報じられた。CEOの楊兵は、魏友純率いる経営陣が今後3年で5000店舗、5年以内の上場を目指すと公言し、フランチャイズモデルが急加速した。
2022年
3層の拡大 成長
窄門餐眼のデータによると、2020年から2023年の新規出店数はそれぞれ316、450、2289、3000店舗。2022年には21省214都市で3168店舗に達し、業界からは「バーガー界の蜜雪冰城(Mixue)」と呼ばれ、オフラインの加盟ブームと国潮(中国トレンド)のコスパ消費の波に乗った。
2023年
幻の資金調達 転換点
2023年11月、評価額約70億元での資金調達が報じられ、セコイア・チャイナと既存株主のソースコード・キャピタルが投資家候補とされたが、後にブランド側が否定。前回の調達時は約500店舗で評価額30億元だったが、1万店舗に迫る段階での評価額については、店舗数で高評価を狙っているのではないかと業界から疑問視された。
2024年
1万店舗の射程圏内 成長
2024年4月時点で7254店舗を展開し、22省342都市をカバー。バーガー市場では華莱士(19976店)、ケンタッキー(10749店)に次ぐ全国3位で、マクドナルド(6706店)を上回る。三線以下の都市の店舗比率は約48%で、ケンタッキーの37%を上回る。昨年1年間で3500店舗を増やしたことが、塔斯汀の強みとなっている。
2024年
安全性の問題 失敗
急激な拡大により、サービスと食品安全の欠陥が露呈。生鶏肉の使用、揚げ油の不合格、期限切れの牛肉製品の使用などが報じられた。北京の直営店でも忙しさによる混乱やサービス意識の低さが指摘され、店舗拡大のスピードにオペレーションの安定性が追いついていないと業界から疑問視されている。
2024年
資本の撤退 失敗
中華バーガー市場への投資が停滞。塔斯汀以外のプレイヤーは20店舗前後で足踏みし、拡大が困難に。直営のベンチマークであった「賈国龍中国堡」は北京の53店舗をすべて閉店し、一部は小鍋牛肉料理店へ業態転換するなど、中華バーガー市場への投資家の信頼が揺らいでいる。
2026年
海外進出 転換
2026年、塔斯汀は中華バーガーを携えて東南アジア市場へ進出。1万店舗規模と上場というプレッシャーの中、フランチャイズと直営のバランス、サプライチェーン構築と運営の標準化、低価格モデルと食品安全といった長年の課題に向き合い、真の全国的・グローバルブランドになれるかが鍵となる。

転換点

  • 2018年の「現烤手擀堡胚」開発と中華風具材の採用による「中国バーガー」の定義付け。これが6年間の低迷から1万店舗を目指す急成長への真の分岐点であり、このイノベーションがなければその後の加盟ブームはなかった。
  • 2020年のフランチャイズ解禁と、コロナ禍の低価格物件、抖音のローカルライフサービスの活用。これにより単店から加盟システムへと転換し、店舗数は2020年の500から2023年には約6700まで急増した。
  • 2023年11月の70億元調達報道の否定と、2024年の市場全体の投資停滞。これは資本が中華バーガーに対して「追随」から「様子見」へと転じたことを示し、塔斯汀は資本主導から加盟店と自社キャッシュフローによる拡大へと転換を余儀なくされた。

失敗とつまずき

  • 2012年から2017年の「中華ピザ」というニッチで曖昧なコンセプト。創業チームの初期の判断ミスであり、バーガーへの転換がなければ西洋ファストフードの波に埋もれていた。
  • 急激な拡大による食品安全とサービスの欠陥。生鶏肉や期限切れ食材の問題が多発し、直営店でもサービス意識の低さが露呈。店舗拡大にオペレーションが追いつかず、加盟店の投資回収期間が1年半から2年に延び、利益が出にくい構造になっている。
  • 自社サプライチェーンの欠如。マリネ液や鶏肉、バンズなどが模倣されやすく、コスト競争で不利。競合は香辣鶏腿堡(スパイシーチキンバーガー)のコストを2元台に抑えられるが、塔斯汀は3〜5元かかる。ブランドの同質化とサプライチェーンの壁のなさが、ユーザーの忠誠心を弱めている。
  • 2024年の市場全体の投資停滞と、賈国龍中国堡の全店閉店。資本の信頼低下により、塔斯汀の資金調達や上場のチャンスが狭まっている。

关键成功要素

  • 「現烤手擀堡胚」と中華風具材による差別化。ケンタッキーやマクドナルドより30〜40%安く、華莱士よりは高いという価格設定で、国潮ブームとコスパ消費の波を捉えた。
  • 三・四線以下の都市を狙う「地方から都市を包囲する」戦略。三線以下の店舗比率が約48%と高く、外資巨人が強い一・二線都市を避けて空白地帯を確保した。
  • フランチャイズモデル、コロナ禍の低価格物件、抖音のローカルライフサービスの組み合わせ。年間3000店舗以上の出店を可能にし、加盟金と売上ロイヤリティで利益を上げるモデルを確立した。
  • マーケティング面での成功。会員向けの「火曜日イベント」やSNSでの「塔門文学(塔斯汀ファンによる投稿)」など、若者の話題をさらい、国潮要素でブランドイメージを確立した。

教訓

  • カテゴリーイノベーションの恩恵は限定的。製品の差別化は模倣されやすく、真の護りとなるのは自社サプライチェーンと標準化された運営である。塔斯汀のこの点における遅れは最大の構造的リスクである。
  • 加盟店数で評価額を吊り上げるのは諸刃の剣。短期間での店舗数拡大は勢いを生むが、加盟店の利益率低下や食品安全問題がブランドを毀損する。店舗が増えるほどサービスと品質の維持は困難になる。
  • 地方都市も安全な港ではない。外資巨人も急速に地方へ進出しており、華莱士の低価格攻勢や抖音の価格競争により、塔斯汀の価格優位性は低下している。
  • 資本に支えられた市場では、若者の忠誠心のなさを警戒すべき。好奇心で初回利用は獲得できても、リピートには「美味しさ、安さ、安全、栄養」が不可欠。製品開発の成熟度において、外資ファストフード大手にはまだ差がある。

主要データ

  • 门店数2024年4月:7254店舗(公開情報に基づく、第三者による検証なし)
  • 覆盖范围:22省342都市(公開情報に基づく、第三者による検証なし)
  • 汉堡赛道排名:全国3位(華莱士、ケンタッキーに次ぐ、マクドナルドより上位)(公開情報に基づく、第三者による検証なし)
  • 新增门店2020-2023:316/450/2289/3000店舗(公開情報に基づく、第三者による検証なし)
  • 下沉门店占比:三線以下で約48%(公開情報に基づく、第三者による検証なし)
  • 客单价:約20〜25元(公開情報に基づく、第三者による検証なし)
  • 单店日营业额:約6000元(損益分岐点ギリギリ)(公開情報に基づく、第三者による検証なし)
  • 回本周期:1年半〜2年(公開情報に基づく、第三者による検証なし)
  • 整店投资:約75万〜80万元(賃貸契約の譲渡料含む)(公開情報に基づく、第三者による検証なし)
  • 融资估值传闻:約70億元(2023年11月時点、ブランド側は否定)(メディアによる推計、第三者による検証なし)
  • 上一轮估值:30億元(店舗数約500店舗時)(公開情報に基づく、第三者による検証なし)
  • 2022年利润:約2億元(主に加盟金と売上ロイヤリティ)(公開情報に基づく、第三者による検証なし)

競合・同業

塔斯汀は西洋ファストフード市場で華莱士(19976店)、ケンタッキー(10749店)、マクドナルド(6706店)と正面から競合している。中華バーガー市場には「賈国龍中国堡」、燃熊、吉華士、肯衛汀、林堡堡などのプレイヤーがいるが、賈国龍中国堡は2024年3月に全直営店を閉鎖し業態転換、他も20店舗前後で停滞している。さらに、肉夾饃(中華バーガー)を扱うブランドや、ケンタッキーが投入する現烤餅バーガーとの競争もあり、カテゴリーの差別化は盤石ではなく、サプライチェーンの優位性も不足している。