群青 · AI時代のビジネス洞察

ヤクルト――「小さな赤いボトル」が直販網で世界40カ国を席巻

創業:代田 稔 · 株式会社ヤクルト本社 (Yakult Honsha Co., Ltd.)

JOURNEY

主要項目

FIELD STAMPS
業界食品・飲料
地域複数地域
規模巨大企業
チャネルその他

創業のきっかけ

1935年、代田稔が当時の日本の子どもたちの間で頻発していた下痢や免疫力低下の問題を解決するため、大阪でヤクルトを創業。L.カゼイ・シロタ株を含み、1本あたり100億個の生きた乳酸菌を配合した100mlの「小さな赤いボトル」の乳酸菌飲料を発売した。「健康は腸から」というコンセプトを掲げ、ヤクルトレディによる家庭への毎日のお届けで地域チャネルを開拓。その後、世界40の国と地域に展開し、日販は一時約4000万本に達した(公開資料に基づく数値であり、独自検証は未実施)。

成長のマイルストーン

1935年
会社設立と初製品の発売 PMF
1935年、代田稔が大阪に最初の工場を開設し、初の乳酸菌飲料を発売。年産は約5万本だった。製品の味と健康効果が地元の家庭に受け入れられ、初年度の販売数は10万本を突破し、後の規模拡大の礎となった。
1963年
海外展開 転換点
1963年、ブラジルに合弁会社を設立し、初めて年間売上高1億ドルを突破。日本国外市場への本格参入を果たした。その後、米国や東南アジアなどで相次いで工場を建設し、1970年代には世界の年間販売数が10億本を超えた。
1997年
中国市場への参入 PMF
1997年、上海金楓と合弁会社を設立し、上海に初の生産ラインを設置。年産は約2億本。現地のヤクルトレディによる直販網と学校給食チャネルを駆使し、わずか3年で全国販売数が5億本を突破。中国で最も売れる乳飲料ブランドの一つとなった。
2008年
ブランド刷新とチャネル革新 成長
2008年、「ヤクルト+プレバイオティクス」のアップグレード製品を発売。日本でオンライン直販プラットフォームを開始し、SNSとヤクルトレディのコミュニティを深く結びつけた。年間世界販売数は25億本を突破し、日販は約3000万本、売上高は約900億円に達した。
2020年
コロナ禍の打撃と販売減 転換点
2020年、COVID-19による世界的なサプライチェーンの影響を受け、中国での販売数が11億本急減し、年間売上高は約15%減少した。同年、日本でも初の工場2カ月停止という事態が発生し、デジタルチャネルへの転換を加速させる契機となった。
2025年
中国工場の閉鎖とグローバル再編 転機
2025年、中国市場の低迷が続いたため、ヤクルトは広州と上海の2工場を正式に閉鎖し、約600人の従業員を削減した。同時期の年間世界販売数は約30億本を維持しているものの、売上構成比において中国の貢献度は25%から8%に低下。コスト削減と再配置のため、東南アジアに新生産拠点を設けることを発表した。

転換点

  • 1970年代の米国市場参入と現地生産の実現
  • 1997年の上海金楓との合弁による中国参入とヤクルトレディ直販モデルの開始
  • 2008年のプレバイオティクス配合製品の発売とオンライン直販チャネルの開始
  • 2020年のコロナ禍による販売急減とデジタルチャネル転換の始動
  • 2025年の中国工場閉鎖と東南アジアへの低コスト生産シフト

失敗とつまずき

  • 1990年代初頭、スーパーマーケット経由の直販を試みるも、チャネル支援の不足により販売が大幅に減少
  • 2020年のコロナ禍においてサプライチェーンの調整が遅れ、中国市場で11億本の販売減を招いた
  • 2023年、欧州で高価格・高濃度バージョンを投入するも、価格設定が高すぎたため消費者に敬遠され、1年以内に撤退

关键成功要素

  • 単一製品の深掘りによるブランド認知度の確立
  • ヤクルトレディの直販網を軸とした低コスト・高浸透チャネルの構築
  • 国際市場における現地生産とマーケティング戦略の採用
  • 危機時の迅速なデジタルチャネル転換による顧客とのエンゲージメント維持
  • グローバル展開と地域コストセンターの組み合わせによるサプライチェーンの強靭化

教訓

  • 単一製品の健康コンセプトには継続的な研究開発投資が必要であり、それがブランドの生命線となる
  • チャネルの過度な集中はリスクが高く、オンラインとオフラインの併用が不可欠
  • 新市場参入前には、徹底した現地向けパッケージと味の調査が必須
  • 危機時のサプライチェーンの柔軟性が販売維持の鍵となる
  • 成熟市場では、製品のアップグレードを通じて消費者に新鮮さを提供し続ける必要がある

主要データ

  • 年販売本数:30億本(2023年)(公開資料に基づく数値であり、独自検証は未実施)
  • 2023年売上高:1200億円(公開資料に基づく数値であり、独自検証は未実施)
  • 2023年チーム規模:8000人(公開資料に基づく数値であり、独自検証は未実施)
  • 2025年中国販売数:2本(公開資料に基づく数値であり、独自検証は未実施)
  • 2023年世界市場シェア:12%(公開資料に基づく数値であり、独自検証は未実施)

競合・同業

ヤクルトの主な競合には、Danoneの「Actimel」、Nestléの「NESTÉ GLOPRO」、および中国の「伊利(Yili)」の「安慕希(AMX)」がある。これらのブランドは世界的にマルチチャネル展開を行っているが、その多くはスーパーマーケットやオンラインECに依存しており、ヤクルトのヤクルトレディによる直販モデルとは対照的である。Danoneは強力な研究開発投資で欧州市場をリードし、Nestléはクロスカテゴリーの抱き合わせ販売で浸透率を高めている。一方、伊利は中国国内でヤクルトの直販モデルを迅速に模倣しており、中国市場における両社の競争は特に激化している。